2025年秋の注目スマホといえば、やはりGoogle Pixel 10。
噂されるQi2対応や新しいAI処理に期待が集まる中、個人的に気になったのが「搭載チップはどうなるのか?」という点です。
PixelシリーズはTensorチップを搭載してきましたが、その**製造プロセス(何nmか)**が性能や消費電力に大きく影響するんです。
そもそも「nm(ナノメートル)」って何?
チップの話題でよく出てくる「3nm」「5nm」という単位。これは、半導体の回路の最小幅を示しています。
要するに、どれだけ細かく回路を詰め込めるか=処理効率や省電力性能に直結します。
小さい方が良い理由
小さいほど、こんなメリットがあります。
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✅ 消費電力が小さい(バッテリー長持ち)
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✅ 発熱が少ない
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✅ チップサイズが小さくなる(コスト削減)
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✅ 演算速度が上がる(トランジスタ数が増やせる)
これらは、スマホの使い勝手そのものを変える要素です。
でも、限界もある
ただし、nmが小さくなるほど製造が難しくなります。
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❌ 回路同士の絶縁性が確保しにくくなる
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❌ 微細化で製造歩留まりが低下
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❌ コストが高騰
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❌ 熱暴走リスクの増加
つまり、小さくすればいいってものでもないんです。
2025年現在、3nmチップは誰が作っている?
2025年時点で3nmプロセスを本格製造しているのは主に2社です。
メーカー | 特徴 | 顧客 |
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TSMC | 安定した量産力、Appleなど採用 | Apple、AMD、NVIDIAなど |
Samsung | 最先端技術導入(GAAFET) | 自社製品中心、量産は限定的 |
製造設備ってどんなもの?
製造には超高精度な機材が必要です。
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EUV露光装置(オランダASML社製):最先端チップ製造のカギ極端紫外線(Extreme Ultraviolet)を用いて半導体の微細な回路をシリコンウェハーに焼き付ける装置
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クリーンルーム:0.001ミリのホコリもNG
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ナノ単位の精密制御ができる設備と技術者
これらが揃って、ようやく1つの3nmチップが生まれます。
【補足①】「GAAFET」ってなに?従来との違いは?
従来のトランジスタは「FinFET(フィンフェット)」と呼ばれる構造が使われてきました。これは、立体的にトランジスタを配置することで、省スペースかつ高性能を実現するもので、5nm~7nm世代では主流でした。
一方、3nm以降はGAAFET(Gate-All-Around FET)が注目されています。これはトランジスタのゲート(スイッチのような部分)をチャネル全体で囲むような構造です。
項目 | FinFET | GAAFET |
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構造 | ゲートが3方向からチャネルを囲む | ゲートがチャネルを完全に囲む |
利点 | 十分な性能と省電力 | さらに電流制御が精密で小型化しやすい |
使用例 | 5nm・7nm(TSMC、Samsung) | 3nm(Samsung)、将来の2nm(Intel)など |
つまり、3nm以降の技術革新を支えるのがこのGAAFETなんですね。Samsungが先に採用し、TSMCやIntelも次世代で本格導入予定です。
【補足②】2nm時代はもうすぐ?どう変わるの?
すでにTSMCは2025年に2nm量産開始予定と発表しています。Intelも2025年までに「Intel 20A(2nm相当)」を市場投入予定です。
2nmになると何が起きる?
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✅ 消費電力がさらに15〜30%削減
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✅ トランジスタ密度が向上し、チップサイズは小さく、性能はさらに向上
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✅ スマホのAI処理やカメラ性能が大きく飛躍
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✅ 同時に製造コストはさらに高く、価格にも反映される可能性
将来的には「1.8nm」「1.4nm」なども技術的に計画されていますが、量産は2030年以降とも言われています。
まとめ
Pixel 10の背後には、3nmやGAAFET、そしてその先の2nmといった最先端の技術革新があります。私たちの手に届くスマホ1台の中には、世界中の技術・設備・人材が結集しているんです。
スマホ好きの人も、技術好きの人も、「今、どんなチップがどこでどう作られているのか?」を知っておくと、未来のテクノロジーをより楽しめるかもしれません。