2023年度、日本の社会保障給付費が135兆4928億円となり、前年度比1.9%減(約2.7兆円減)だったことが、厚生労働省・国立社会保障・人口問題研究所の発表で明らかになりました。減少は2年連続となりますが、依然として過去3番目の高水準となっています。
減少の背景:コロナ特需の収束
今回の減少の主な要因は、**新型コロナウイルスの5類移行(2023年5月)**により、関連する給付金や補助金が大幅に縮小されたことです。つまり、2020〜2021年度に膨らんだ“コロナ特需”が一服した形です。
給付費の内訳
社会保障給付費とは、年金・医療・介護・子育てなど、社会保障制度に基づいて支出される費用のこと。主に保険料や税金を財源とし、病院の窓口での自己負担分は含みません。
2023年度の主な内訳は以下の通りです:
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🔹 年金:56兆3936億円(+1.1%)
高齢化に伴い引き続き増加。 -
🔹 医療:45兆5799億円(−6.5%)
公的医療保険給付は増えたが、コロナ対策費の縮小で全体として減少。 -
🔹 福祉その他(介護・子育てなど):33兆5192億円(−0.3%)
過去からの推移を見ると…
日本の社会保障給付費は、戦後から一貫して増え続けてきました。以下に主な節目を紹介します。
年度 | 給付費総額(兆円) |
---|---|
1950年 | 約3.5 |
1970年 | 約24.8 |
1990年 | 約78.3 |
2000年 | 約105.2 |
2010年 | 約118.3 |
2020年 | 約132.2(コロナ特需) |
2021年 | 約138.7(過去最高) |
2022年 | 約137.8 |
2023年 | 約135.5 |
特に2000年以降は高齢化の影響で100兆円を超え、社会保障の財政負担が年々重くなっています。2020〜2021年のコロナ対応では、特例的に医療や福祉の給付が急増しましたが、現在は平常時に戻りつつあります。
今後の課題
今後も高齢化はさらに進みます。たとえ一時的に給付費が減少しても、年金や医療への支出は長期的に見て確実に増えていくと予想されます。
社会保障制度の持続可能性を維持するために、私たち一人ひとりの理解と議論が求められる時代に来ているのかもしれません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7f3a4b1a6be02489430d86d0097efad87d440057